アイスコーナーに来ると、また普段アイスを食べなそうな人がかがんでアイスを眺めている。
アイスの場合嫌なことがあったというよりは、何かのご褒美に近いのだろう。
その表情は銀座の宝飾店でショーケースを眺めるように品定めをしている。
アイスは、衝動で高級腕時計を買うよりはよいかもしれない。
アイスを一つとったらレジへ向かうとそこには夜の精鋭部隊が待っている。
夜は主婦もおらず、レジ待ちがない。
F1さながらに買い物かごがピットイン。
レジ打ちの店員は玄人顔だ。感情はないがそこに一点に集中する力を感じる。
何かしらの責任を持っている顔だ。
そのレジ打ちのテンポ感にこちらも思わず合わせてゆき、アンサンブルが形成されていく。
袋はいりますか ー いります
箸はいりますか ー お願いします
ポイントカードはお持ちですか ー 大丈夫です
980円です
後ろから買い物かごピットインする手前、キャッシュレスで素早く決済をして流れを断ち切らないようにする。
ワンチームで作り上げた買い物袋は軽い。あのレジでのよどみない流れがまだ体に残っている。
静かな夜道に、買い物袋が音もなく流れていく。
~おしまい~